企業が何かしらの不祥事を起こすたびに、“コンプライアンス”という言葉を見聞きするようになってきました。
コンプライアンス【compliance】とは英語で「命令・要求に従うこと」を指します。日本では「法令遵守」、最近では「企業が法律や企業倫理を遵守すること」という意味で使われることが多いですね。また、「ビジネスコンプライアンス」と呼ぶ時もあります。
社会は「企業が法令を順守して当たり前だ」との認識を持っていますので、事業者は社内に向けてコンプライアンスの浸透を図っていかなければなりません。コンプライアンス違反を犯すのは個々の従業員ですから、SNSが隆盛を誇る今日、事業者はコンプライアンスについてより神経質となっておくべきでしょう。
某コンビニや、大手外食チェーンなどで相次いでいるアルバイトによる不適切動画の投稿はコンプライアンスが浸透していないことの典型的な例といえます。これらの行為は単純に話題となるだけでなく、信用を棄損して客足を遠ざけてしまう理由となり、かなり大きな損失を生み出す原因となります。大企業だからこそ、大きな損失という言葉で片付けられるかもしれませんが、これが中小企業であれば倒産する可能性は小さくありません。
コンプライアンス対策担当は人事である
上記のように各事業者はコンプライアンス対策を徹底しなければならないわけですが、コンプライアンス対策の本質とは「従業員への教育」に他ならないので、人事を担当する部署が対策を講じる役割を担うこととなります。
コンプライアンスを直訳すれば法令遵守となるように、業務に適法に従事していればいいのであり、くだけて言うと「悪いことをしない」ことなので、教育すべき内容自体が高度なわけではありません。何が良いのか、何がダメなのか、についての線引きを従業員に再確認させるための機会を設けることが大切となってきますので、人事の担当者がいかにコンプライアンスについて積極的に取り組んでいるかどうかが内からも外からも見えやすいともいえます。
フレキシブルな対応が必要
また今後を考えれば、コンプライアンスについて更に一歩踏み込むことも考えていかなければならないでしょう。
具体的には、
◉行動規範の策定をはじめとする対外的な行動におけるガイドラインを作成し、それを周知徹底させる。
◉就業規則など社内に向けた各種のルールを取り決め、従業員それぞれが法律に適合した一定のルールで業務に従事していくことのできる環境づくりに努めていく。
ということが挙げられます。
コンプライアンスとは外部が形成する性質も持っているため、後追いとなるのは仕方ないにしても、遅れないように人事が留意することがとても大切です。