2019.04.19writer / ロココスペース

中小企業が取り入れると良い研修について

 

終身雇用が当たり前だった時代には 『スキルを盗め』と教わり、新入社員が能動的に仕事を通じて業務に必要な知識や技術を身に付けていくものでした。しかし、流動化するばかりの今日においては、会社側が新入社員にスキルを習得できる機会を設けなくてはならなくなっています。過去の時代の教育もOJTだったかもしれませんが、今日のOJTとは新入社員に求められる積極性がまったく異なります。こういった相違が生まれているのも、労働市場が流動性を持ったものとなった結果、流入してきた才能を自社にフィットさせる機会が多くなったからといえます。
(※ OJT とは「On-The-Job Training」の略称。実際の職務現場において、業務を通して行う教育訓練のこと)

日々の業務を通じて必要なスキルを習得していくOJTは実地研修であり、今日も人材育成の主役に他なりません。指導は上司や先輩にあたる担当者が行うため、新入社員に対する親身な指導が期待できます。また、効率的かつ応用力の高いスキル習得につながり、チームワークの構築にも一役買ってくれます。

しかしOJTの弱点は、指導できるだけのスキルを持った担当者が社内にいるかどうか、その担当者が指導にあたることで会社としての生産性の低下を招くことがないかどうか、といった要素が挙げられます。つまり、人材を豊富に抱えている大手企業であればOJTで十分な人材育成が期待できますが、中小企業であれば難しい場合もあるということになります。

ですので、中小企業の場合には「OFF-JT」について考えてみるのも良いでしょう。OFF-JTとは、外部のセミナーに参加したり、外部から講師を招いて社内で集合研修を行ったりするものです。自社に存在しないスキルを導入して浸透させる効果が期待できます。具体的には、

①一般化された知識や技術などを学ぶことで、その技術や業務が本来どのような意味を持つかなどを体系立てて習得することができる
②一斉に実施するので、職場環境に左右されず集中的に習得できる
➂自己啓発だけではなかなか進まないスキルアップも、集合研修なので個々への「研修の濃淡」が起こりにくい

といったメリットが挙げられます。

 

反対にOFF-JTの難しさは、研修で学んだことを実際の業務にどう役立てるかが問題となってくる点です。研修自体は基本的に講義形式が主となるので、知識を体系的に学ぶことができても、実戦への応用がすぐにできるかといえばそうではありません。

そこでOFF-JTを生かすポイントとしては、日々の業務において実際に起こりうる問題を題材にした「ケーススタディ」や「ロールプレイング」なども取り入れている研修会社を選ぶことをお勧めします。また、集合研修は研修を受ける人材全員の時間をあるタイミングで一斉に確保しなければならないため、通常業務との兼ね合いについても工夫しなければなりません。その辺りをしっかり相談しながら進められることが大切です。

人材教育の重要性が声高に叫ばれていても、それに反するようにビジネスのスピードは上がっており、結局はなかなか研修の機会を設けられないままという企業は少なくないと思います。効率的な研修のできる事業体は自然と競争力が培われ、より優秀な人材が集まるようになるため、これからの研修はより大きな意味を持つようになっていくでしょう。

 

弊社では体験・体感を重視した、記憶に残る研修を行っております。
⇒関連記事『二年、三年経っても忘れない研修』