「安定した収益を確保していきたい」と考えている場合は、例にもれず自社の組織に不安定さを覚えているからに他なりません。結局、売上利益に対して販売管理費が割に合っていないからそう考えてしまうのです。そして、販売管理費の中でもっとも大きなウェイトを占めるのは「人件費」です。思わず人件費の抑制が頭を過りそうですが、そこで実行に踏み切るのは短絡的すぎます。
そもそも経営資源がヒト・モノ・カネなのですから、そのうちのひとつをカットしてしまえば企業成長にとってマイナス要因となってしまいかねません。つまり、ヒトの部分をいかに有効活用するかが大事なのであり、よく巷で叫ばれている生産性の向上を図る必要があります。
収益を上げていくための教育になっていますか?
中小企業の場合。求人をかけて採用した後は、ほぼOJTで教育を済ませる傾向がありますが、その過程はとてもルーズと言わざるを得ません。教育というより、採用した人員を「自社のやり方にフィットさせるための研修」といったほうが適切な表現かもしれません。結局、その人材のスペックに任せてしまっているのです。
企業組織としてマネジメントしているつもりであっても、それは労務管理にとどまっていて、収益を上げていくための教育となっていないのです。こういった積み重ねにより、経営者が従業員個々の生産性に不満を抱くようになり、「安定した収益を確保していきたい」という想いに駆られるのです。
こうなってしまえば、両者ともハッピーであるわけがありません。
従業員に危機感を抱かせるのも善し悪し
借入などリスクを選んでいる経営者は、収益を挙げることのできない従業員がルーティンだけをこなして退社していく後姿にため息しか出ないので、どうにか打開策を講じようと色々アクションを起こします。これが、従業員に危機感を抱かせるためのプラス影響を及ぼせばいいのですが、決してそうとは限りません。危機感を抱かされたことによって、穏やかな気持ちで従事していけなくなるので、従業員は他で働くことを考え出す場合もあるからです。
転職市場は完全に売り手市場となっているため、従業員それぞれの目の前に豊富な選択肢がぶら下がっている状態です。したがって以前よりも上下関係でコントロールしづらいのが実際のところです。
安定した収益を確保できる組織としていくために
これまでご紹介したようなリスクを排除し、従業員それぞれの生産性を引き上げ、安定した収益を確保できる組織としていくためには、しっかりとした教育システムならびに正当な評価システムの構築が必要となります。これまでOJT頼みだった教育を変えるのに手間も時間もかかりそうに思えるかもしれませんが、専門家に相談する方が結果的に望む組織へと変えていくための近道となるのです。
ゼロから作りだそうとするから躊躇するのであり、他の優れたモノを模索し自社に落とし込むのであれば、より興味を持って取り組むことができるようになるでしょう。