「自分で判断して仕事をしていけるように育って欲しい」と思うけれど、どこまで任せて良いのか?どこまで理解しているのか?と悩む。
良かれと思って任せてみても、結局は誰かに聞きに行ってそれをやるだけだったり、ひとりで抱え込んで動けなくなってしまったり。場合によっては丸投げ扱いに思われてしまう事もあるなど、「任せるというのは、本当に難しいですねぇ」と苦笑いされる社長やマネージャーも多いです。
いつからこんなに任せる事が難しくなってしまったのか?分かりませんが、少なくともひと昔前までは、部下は仕事を任されるのが当然なので「任せ方」に気を遣う事もなかったはずです。
家庭や学校で正解を求める教育を受けて育つ若い世代は、すぐ答えを求めてしまう癖がついたり、「言われたことだけをしなさい」と育つので自分で判断して考える機会も減っています。
そんな状況で、いきなり社会に出た途端「自分で考えて判断しなさい」と仕事をふられても戸惑うのも仕方ないかも知れません。
また、時代の変化の速さから「とりあえずやらせて失敗させれば良いんだ」と悠長なことを言ってられない環境でもあります。
今回は、部下に仕事をうまく任せて育てるために、任せる事と丸投げする事の違い・任せるポイントなどを考えてみます。
任せる事と丸投げする事の違い
まず言葉の意味から見ていきますと、
任せる : 自分の(すべき)事を他に頼んでさせる。委ねる。
丸投げ : 人任せにすること。本来なら担当すべき業務をそっくり他者に任せること。
つまり、上司が部下に
任せるとは ⇒ 指示が的確で権限が明確であること。責任をもって委ねる。
丸投げとは ⇒ 指示があいまいなのに責任を持たせること。
という感じになります。
なので仕事のやり方の概要だけを伝えて「あとは自分で考えて判断しなさい」という教え方をするのは丸投げと言われても仕方がないのです。
自分で考えるようにさせるには?
仕事を覚える段階で、自ら考える習慣をつける事から始まります。
有名な山本五十六の言葉で
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」の続きに
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」とあります。
まさしくその通りで、まずは話を聞く姿勢を作ってもらい、仕事をやってみせて、やらせてみる。
考えを聞いて話し合い、フィードバックを与えて待つ。
必要な情報を取りやすいように指示し、期限を与えて「どのように考えたか」の報告をもらう。
教える方は根気がいるので大変なように思われますが、実は、仕事の面白さをどう演出するかという役割を担っているわけです。
考える事が楽しくなる、仕事を任せられるのが楽しくなるように仕向ける事ができると言う事です。
上手に任せるポイント
・任せようとしている仕事をキチンと分析したうえで任せる。
例/どのような手順で仕事を進めるか、仕事を生産的にするツールは何を与えるか、など。
・任された部下が自分で必要な情報を取れるような環境を作る。
例/社内で必要な情報が活用しやすいように整理されている、情報の取り方を伝える、など。
・部下が継続的に学習できる仕組みを作る。
例/顧客からのアンケートなどのフィードバック(改善点の気付き・ヤル気向上)、社内勉強会、など。
上記からも分かるように、上司から部下へ指示の出し方の上手下手だけではなく、会社のマネジメントとして仕組みなどを設計していく必要があります。
任せるほうも、任せられるほうも、自ら動きたくなる環境になると良いですね!