2022.07.29writer / ロココスペース

Wi-RiSE journa!

「逃げ道をつくっておく」ー 4月からパワハラ防止法が中小企業にも義務化されます。

01 – パワハラ防止法とは?

これまでもセクハラやマタハラ(マタニティハラスメント)については
全事業主に防止措置の実施が義務付けられていました。
また、すでに大企業においては、パワハラ防止法が同様に義務付けられていましたが、4月より中小企業(全事業主)においても、防止措置が義務付けられるようになりました。

▼法令詳細については下記をご参照ください↓↓↓
[職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!]厚生労働省

何をしたらよいか?

では実際に、事業主として、何をすればよいのでしょうか。

パワハラ防止のために必要なこと。
大きくは下記2つの対応措置が求められています。

[1]パワハラを防止するために構ずべき措置

[2]パワハラが起こってしまった場合

まずは、[1]のパワハラを防止するために講ずべき措置です。

[1]パワハラを防止するために構ずべき措置

事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

パワハラ相談窓口を設置

各種専門家との協力態勢を整備する

1.事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
会社としての指針・方針を明示することがまずは第1歩となります。
まず事業主側が「ハラスメント防止法」を正しく理解し、会社として何をするのかを決めましょう。

2.パワハラ相談窓口を設置
相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備を行います。相談窓口を定めたり、従業員への周知などです。

この際、気をつける必要があるのは、
プライバシーに配慮された連絡方法・相談窓口であることです。
決して「置いているだけ」の窓口にならないようにしてください。
社員・スタッフがいつでも、気兼ねなく連絡ができ、
担当者が、きちんと受け取れる状態であること。
きちんと機能する形で設置しましょう。

3.各種専門家との協力態勢を整備する
実際に起こった際にどのような対応措置をするのか、ルール及び
産業医と連携するなど、専門家との協力態勢を整備しましょう。

続いて、[2]のパワハラがおこってしまった場合の対応についてです。

[2]パワハラが起こってしまった場合

事後の迅速かつ適切な対応が求められます!
1.事実関係を迅速かつ正確に確認
2.被害者に対する適正な配慮の措置の実施
.行為者に対する適正な措置の実施
4.再発防止措置の実施

これらでわかるように、おこってから誰がどのように対応するか検討するのでは対応が遅くなるため、あらかじめ相談窓口や方針を明確に定めておくことが大事です。

以上が、 対応措置となります。

しかし、、、
そもそもパワハラがおこらないような環境を作ること、が大前提です。

パワハラがおこる会社の空気感はそもそも、生産的とは言えません。

万が一、パワハラがおこってしまった場合、
状況把握から解決までに、
会社も本人同士も相当なエネルギーを使うことになります。
そこに事業としての生産性はありません。

しかし、だからといって放置するわけにもいきません。

パワハラによるトラブルをそのまま放置しては、
事業としてさしつかえがあるばかえりではなく、
傷はどんどん深くなっていきます。

できるだけスピーディに解決できるよう
会社として問題に関わっていく必要があります。

02 – パワハラがおこらないようにするためにはどうしたらいいのか?
パワハラがおこらない「風土づくり」

パワハラがおこらないような「風土づくり」とは、つまり教育です。
全従業員がパワハラとはどういうことなのかを認識し、防止に向けて意識づけしていきましょう。

1.前提:どの立場でも加害者・被害者になりえる

当事者-1
パワハラというと一般的には
上司→部下
男性→女性
といった、従来のステレオタイプな考え方で捉えてしまいがちですが、
実は様々なパターンがあります。

パワハラの例)
・部下→上司
・女性の管理職→男性
・若い人→年配
・ITハラスメント(IT強い人→IT弱い人) etc.

つまり、どの立場でも加害者・被害者になりえる、ということです。
この認識をまず全従業員が持つことが大前提です。

2.開放的かどうか

その上で、パワハラが起こりにくい風土・文化をつくるには、
開放的かどうか」がキーです。

・少人数で一対一で、密室という環境。
・人が長年固定されていて、第三者の目が届かない環境。

上記はパワハラなどがおこりやすい環境です。

「それってパワハラですよね」
と言える環境・会社はまだ大丈夫です。
問題なのは言えない環境を作ってしまうことです。

何らかの上下関係があり、第三者の目が届かず、
「ノー」と言えないような状況ができてしまうと、
本人は追い詰められ、逃げ場を失ってしまいます。

本来的には、定期的な配置転換・人の入れ替え等を行う、
密室での会話を避ける、といった対策をとれればよいのですが、
中小企業においては、人数も少ないため、なかなかそのとおりにはいきません。

相談窓口を作るというのが、逃げ場の一つにはなりますが、
空間的ににも心理的にも「本人同士しか知らない」といった状況を避け、
第三者の目が定期的に入る環境を整えておくことが大切です。
また、「密室で逃げ場がない」と感じるような状況ができたら、
そこから逃げたり、第三者が入るという選択肢があることを、
普段から明示しておきましょう。

3.相互尊重できているかどうか

受け取り手がパワハラだと思っていても
パワハラをしている側はそれに気づいていないケースも多いのも厄介な点です。

パワハラをおこしてしまう人は
「パワハラ」について勉強していない人、
また相互尊重(ビジネスマナー)ができていない人が多いです。

同じことをしても、人と状況が変われば、
パワハラととらえる人もいれば、そう感じない人もいます。
つまり、相手がそれをどうとらえているか次第です。

相手がどう感じているのか、そこに配慮ができるかどうか。
原点に立ち戻るようですが、
シンプルに捉え直すならば、つまりそこに「相互尊重=ビジネスマナー」があるかどうかということになります。

価値観が違うと、受け取り方が違ってしまうことも多いですので、
多様な価値観が共存する場においては特に
「相互尊重」を大事にする必要があります。

大企業は、人数が多く、多様な価値観があることを前提としたコンプライアンス教育や、価値観の違いを許容する風土・文化づくりの取り組みがすでに進んでいます。

一方で、中小企業は人数も少なく閉じた世界になりがちです。

大企業のように、定期的に配置転換できるほどの数のポジション・部署がない
→ 人が固定化しがちで、価値観の違いがあっても、上下関係等から言い出せない
→ 我慢して同じ場所で働き続けるしかない
→ そのような状況でハラスメントを受けても言い出せずに苦しんでしまう
→ 苦しんで耐えきれなくなって表面化した際には、事態は修復できないような状況になってしまっている

というのは最悪のパターンです。

・ハラスメントについて勉強していない
・人が固定化している
・第三者の目が届かない

このような環境があるという企業様は、
まずは、ハラスメントに関する勉強会からはじめましょう。

おこってしまったら、
会社も個人にとっても大きなダメージとなりますので、
どうかそうならないよう、
今から取り組んでくださいね。

まとめ

[1]パワハラを防止するために講ずべき措置
指針を定める
パワハラ相談窓口を設置→相談窓口を予め社員へ周知
各種専門家との協力態勢を整備する

[2]起こってしまった場合は、定められた手順に沿って迅速、適切に対応

[3]パワハラがおこらないようにするための風土づくり
「どの立場でも加害者・被害者になりえる」という前提を全社員が認識する
パワハラが起きない風土づくりのポイント=開放的かどうか
相互尊重(多様な価値観の尊重)