人材育成に効く「業務フロー」の使い方
「業務フロー」と聞くとマニュアルや引き継ぎ資料を連想されるかもしれませんが、意外にも人材育成プログラムのダークホース。
「やってよかった」という声を多数いただくベスト・プラクティス(最適な方法)の一つです。
今回は人材育成に活用できる「業務フロー」についてご紹介します。
業務フローとは
「業務フロー」とはその名の通り、
□や◯などの記号と→や線などを用いて、業務の流れを整理した図のことです。
業務フローの目的
業務フロー作成の目的は、仕事の流れを可視化し、関係者間で共有をするため。
つまり「業務の見える化」です。
「業務を見える化」すると何がいいのかというと、単に目の前の仕事をこなすという視点から、業務全体を捉える、俯瞰的視野を持てるということです。
俯瞰してみることで、そこに潜む課題やリスク、改善できる点や、可能性に気づくことができます。
それによって業務の流れをより良くしたり、リスク回避の策や次へのビジネスへの展開に役立てることができます。
それが従来の業務フローの活用方法です。
業務フローの活用例
・後継者への業務の引き継ぎ
・業務の棚卸しや整理・把握
・業務改善・効率化
・業務の課題発見
・リスクの洗い出し、リスク対策
しかし、実は業務フローの使い方は、それだけにとどまりません。
マニュアルや引き継ぎだけではない?
人材育成に効く「業務フロー」の使い方。
業務フローの作成は実は人材育成にも活用できます。
なぜなら自分自身の仕事を業務フローで見える化することで、業務の課題だけではなく、その人の課題も見える化されるからです。
何につまづいているのか、
どこに問題を抱えているのか。
業務フロー研修では、書き方のルールや目的、事例を紹介した後に、実際にワークとして業務フローを作成します。
「あなたの仕事のゴールは何ですか?あなたの仕事の業務フローを書いてください。」
そう問いかけて、仕事のスタートからゴールまで、自分自身で業務フローを書いていただきます。
そうすると、スタートからゴールまでスムースに書ける人、
途中で止まってしまう人、
書いたけれど、うまく読み取れない、伝わらない人、
さまざまなパターンがでてきます。
・業務フローがうまく書けない。
・ゴールがわからない。
・スタートからゴールまでうまくたどり着けない。
など、うまく書けない場合は、何らかそこに課題や問題を抱えているということ。
業務フローを本人自身が書くことで、部下や社員がどこに課題を抱えているのか、
見えづらい課題が浮き彫りになり、上司や経営者は部下や社員のことがよくわかるようになります。
業務フロー研修は、入社数年の若手社員がおすすめ
業務フロー研修の対象者は、入社1〜5年ぐらいの比較的若手社員の方がおすすめです。
新人の場合には、まだ業務そのものについて未経験でわかっていないことが多く、業務フローの作成ができません。
また逆に階層が上がり、判断することが多い立場の方もフローが複雑になりすぎるため、おすすめできません。
作成するフローの業務経験が何年かある方が対象としては最適です。
「業務フロー」の作成で、人の課題も見えてくる。
業務フローを作成することで、なんとなくこなしていた仕事の目的が明確になり、
その人自身の課題も明確になります。
課題がわかれば、対処方法や解決策を考えられるようになります。
また「何かうまくいかないな、どうしてだろう?」というときにはぜひ業務フローを作成してみてください。
書き方さえ知っていれば、書き出して状況を俯瞰して見ることができ、人と共有することができます。
共有できれば、まわりからの意見やアドバイスもえやすく、自分ひとりで抱えるよりも、解決しやすくなるのではないでしょうか。
このように、単に手法を学ぶだけではなく、手法を活かして、ふだんの業務の整理にも活用することができる、結果として、その人自身も成長できるという点で「業務フロー」は人材育成にも活用できます。
また、業務フローを通じて、上司は部下のことをよく理解できるようになるという点もメリットです。
「業務フロー」はコミュニケーションツール
試しにあなたの仕事の一部を業務フローとして作成してみてください。
すべての業務を書く必要はありません。
何でも結構です。
注文書や請求処理、営業アポイントや提案書作成など。
スタートとゴールを書き、登場人物を整理し、誰が、いつ、何をするのか、どこがゴールなのかを整理して、図にしてください。
どうですか?うまく書けましたか?
もしうまく書けなければ、そこに何か課題が潜んでいる可能性大。
ぜひ業務フローを共有して、社員同士、上司・部下同士で話し合ってみてください。